協進の革

2023.04.03 UP

「イタリアの革」と「日本の革」って、どう違うの?

「革の本場といえば、イタリア」。そう語られることが多いのは事実ですが、日本の革とイタリアの革、一体どこが違うのでしょうか。そしてやはり本当に日本の革は、本当にイタリアの革には勝てないのでしょうか。いくつかの観点から検証したいと思います。

それぞれに特徴あり。イタリア産だけがいいわけではない。

まずは「原皮」に関してです。イタリアを中心としたヨーロッパでは、食用として『ヒレ肉』が好まれることもあり、牛や豚が筋肉質な状態に育てられます。それと比べて、日本や北米では脂身が多く、筋肉が緩みがちであるというのが一般的な見解。さらに鞣しの工程においても、イタリアでは部位ごとに分けて鞣すのに対して、日本では異なる部位をまとめて一気に鞣すことが多く、それによって仕上がりに違いが出る場合があります。


長きに渡って弊社と取引を行うイタリアを代表するタンナー『ブレターニャ社』。

つづいてイタリア産の革を語る上で重要な要素になることの多い「色」に関してです。これについては、職人たちの考え方の違いが見られます。イタリアでは「できる限りいい色を出したい」と考える人が多い一方で、日本では「毎回、同じ色を出したい」と考えるのが基本的な姿勢です。

たとえば諸条件が重なり合うことで、普段の150%の色が出来上がったとします。その時に、イタリアでは「いつもよりとてもいい色が出せた! やったよ!!」と自信満々に報告してくるでしょう。しかし日本では違います。常に同じ色を再現することが尊ばれているので、いつもよりいい色が出たとしても、それは誇るべきことではないと考えられています。

そして最後は、職人たちの精神性の違いです。イタリアで革をつくっている人たちは、自分たちの仕事にとても誇りを持っており、多くの職人たちが例えば「私は40年、この仕事をしているんだよ」と胸を張って主張しています。実際にイタリアのタンナーで働いた経験を持つ協進エルのスタッフも、そのことは強く印象に残っていると語っていました。もちろん日本にもそういう職人はいますが、やはり一般的に言って「決してキレイではない環境で行われる現場仕事」といったネガティブな印象が残っている部分も否めません。同じ原皮と同じ機械、同じ薬品を使っても、仕上がりに差が出ることもあり、それはそういった仕事への向き合い方が影響しているのかもしれません。


同じく弊社で取り扱いのある『モンフリーニ社』も、イタリアの名門タンナーです。

それらを踏まえた上で「イタリアの革の方が優れているか」という問いに対する答えを出すのであれば、決してそんなことはありません。国産の革における色の再現性やムラのなさ、さらに職人たちの誠実性といった点ではまったくイタリアに引けを取ることはなく、ものづくりを行うメーカーの担当者たちも、日本の革の安心感は抜群だと語ります。

つまり、どちらがいいかは「一概には言えない」というのが結論であり、求められている条件に合った革を選んでいくのが、最善の方法ということになります。