協進の革

2023.04.02 UP

「革のよさ」ってどんなところ!?

革という素材には、自然の中で生きてきた動物から得られるものだからこその特徴がたくさんあります。具体的に、合成皮革や生地、ビニールといった他の素材と比較した時に、どういったメリットがあるのでしょうか。

特性を活かし、世界にたったひとつの味を。

まず機能的な観点では「高い伸縮性」が挙げられます。当たり前ですが、牛や豚たちは、もともと自然の中を活発に動き回っていた動物です。したがってその皮には「伸びる力」と、「元に戻る力」が備わっています。ここで注意が必要なのは、部位によって伸びやすさや、伸びる方向が変わるということ。それらをきちんと理解し、正しい場所に正しい方法で使えば、非常に高い効果が得られます。

例えば紳士用のビジネスシューズや、アスリートが履くスパイクに革製が多いのは、その伸縮性から得られるメリットが大きいことが理由として挙げられます。履いているうちに自分の足に合ったカタチに馴染んでいき、履きやすさが増していきのも、革以外の素材では叶わないこと。またシューキーパーに入れるなどして正しく保管すれば、歩く時に曲がる部分にも線が残りにくく、いつまでも美しい状態を保つことができます。それらの特性をきちんと活かしてつくられた革製品は、長く使うことができるので、エコロジーの観点においても優れていると言えるでしょう。


もともと動物の皮膚だったからこそ、他にはないぬくもりや温かさがあります。

つづいて他の素材ではできない「漉く」という手法も見逃せません。皮は繊維が複雑に重なり合うことで出来上がっているので、例えば靴やカバンなどをつくる上で、2〜3枚が重なり合うところがあったとしても、部分的に薄くすることでスッキリと見せることができます。これはデザイン的には大きなメリットとなり、つくり手としては大切な要素です。

そして最後に紹介するのが“愛着”という観点で語られることの多い「経年変化」です。これは革が持つ一番の特徴といっても過言ではないもの。他の多くの素材は、製品を買った時がいちばんいい状態で、そこからどんどん劣化していきますが、革はそうではありません。手にした瞬間から、油を入れるといった手入れをすることで、エイジングを楽しみ、持ち主の好みに合わせて育てていくことができ、世界にたったひとつ、自分だけの味を足していくこともできるのは革製品の大きな楽しみだと言えます。