一口に「革」と言っても、その値段は本当にさまざま。ここではどのように価格が決まっていくかを、簡単に説明していきたいと思います。
部位や産地、セレクション、多くの条件が関係しています。
革の値段が決定される上で重要なのは、部位の希少性と、原皮の産地です。
たとえば北米の原皮を、イタリアで鞣し、日本で売るとなると、輸送コストと関税が乗る分だけ、価格は高くなります。逆に日本の原皮を日本でつくり、日本で売れば比較的、値段を低く抑えられるのは当然のこと。しかしそれだと選択肢は圧倒的に狭くなってしまいます。
ちなみに原皮の産地に関しては、革を使うメーカーの担当者やエンドユーザーだけでなく、私たちのような卸業者ですら正確には知ることができない場合があり、時には実際とは異なる情報が届くこともあります。これは誰かが意図的に嘘を流しているわけではなく、輸送の際に他の産地のものと混ざってしまうなど、不可抗力のようなことも起きてしまうことがあるのが原因のひとつ。したがって取り扱いの際には、細心の注意が必要です。
もう一つ、革の値段が決まる上で重要なのが「セレクション」と呼ばれるランクです。これは仕上げの違いによって、A〜Eの5段階に分けられるもので、この違いによって値段は変わってきます。
しかしこの区分けは曖昧であることが多く、Aランクの中にCランク相当のものが入っていたり、仮にEランクだとしても然るべき加工を加えることで、とてもよい状態で使えるものになったりします。イメージとしては、まったく同じ味なのにカタチがきれいでないだけで価格が下がる野菜などと近いかもしれません。
したがって革の状態をきちんと判断できる革のプロにアドバイスしてもらいながら、値段だけに惑わされず、上手に工夫して選択・使用するのがいいと言えるでしょう。