協進の革

2023.04.05 UP

「いい革」って、どんな革?

革には動物の種類や部位などにより無数の種類があり、さらにそこに鞣し方、仕上げや加工の方法などが加わることで、天文学的な選択肢となっていきます。その中で果たして「いい革」とはどういったものなのかを考えてみましょう。

関わる人、すべての協力がなければ、いい革にはならない。

「いい革」の定義に正解はありません。ただひとつ、確実に言えることがあります。それは「値段が高い革が、イコールいい革ではない」ということ。高価な革だとしても、その特性を理解せずに間違った使い方をしてしまうと、よい製品はできあがりません。そうすると売上にもつながらず、ユーザーにも満足してもらえないのは当然のこと。それは決して「いい革」とは呼べないはずです。

つまり私たちは「その革がいいものかかどうか」ということは、革だけを見て判断できるものではなく、製品になってはじめて分かると考えています。その製品に適した革を、適した使い方で選んでいるか。それがいい革かどうかを判断する上でとても重要な基準です。また同時に、製品がユーザーの手に届かなければ意味がないので、値段のバランスも大切になります。したがってこれは結果論ではありますが「売れないものは、いい革ではない」ということも言えるでしょう。

ここまでで分かるのは、いい革とは、それに関わるすべての人が力を合わせないとできないということ。革をつくるタンナーの仕上げ方を理解し、そのよさを活かしたデザインを考え、それを適正な価格で世の中に送り出す。そうすることで、ユーザーに手にとってもらうことができ、さらに気に入った状態で長く使い続けてもらえた時に、自信を持って「いい革だ」と言えると思います。


製品となる際に正しく使用されなければ、美しい仕上げも台無しになってしまいます。

かつてはデザインに重きが置かれるがあまり、革の特性が活かされていない製品が多く、私たちとしても歯がゆい思いをすることが多い時代もありました。しかしここ最近は「ブランド」の力よりも、ものづくりにおける「背景」や「ストーリー」が重視されるようになり「どういった革を使っているか」「なぜその革を使っているか」といったことがセールストークとしても聞かれるようになっています。その流れの中で、デザイナーの方からアドバイスや意見を求められることも増え、私たちが貢献できる部分も大きくなってきました。

これからも多くの職種が互いに協力し合うことで、世の中に「いい革」、そして「いい革製品」をたくさん提供していきたいと思います。