日本における革の産地といえば、兵庫県の「姫路」が思い浮ぶ人が多いと思います。「高木地区」や「御着地区」、「松原地区」といった決して広くはない地域の中で、多くの生産現場が集い、たくさんの職人が腕を振るうことで特色ある革づくりが行われている地域です。
しかし革の集積地があるのは日本だけではありません。今回は姫路にも負けない“聖地”、イタリアの『サンタ・クローチェ』と呼ばれる地域のことを紹介してみましょう。(画像はすべてGoogleマップから)
サンタ・クローチェってどんな場所?
サンタ・クローチェとは、イタリアのトスカーナ州のピサ県からフィレンツェ県にまたがる地域の総称のこと。ちなみに「サンタ・クローチェ」と聞くと、イタリアにおける代表的なゴシック建築として知られる『サンタ・クローチェ聖堂』が有名ですが、この教会はフィレンツェにあり、今回取り上げるエリアとはまた別の場所にあります。
その地域の中にアルノ川を挟んで大きく4つの地区があり、そこに姫路にも負けないレベルで、多くのタンナーや革関係の業者がひしめき合っています。少し紹介してみましょう。
※赤字は『イタリア植物タンニン鞣し革協会』に加盟しているタンナー。
■ サンタ・クローチェ・スッラルノ(トスカーナ州ピサ県)
Conceria IL GABBIANO
Conceria LA PERLA AZZURRA
Conceria LO STIVALE
Conceria NUVA ALBORA
CURTIBA IND. Conceria
Conceria 800
Conceria VICTORIA
Conceria YANKEE
AUSONIA Conceria
MARYAM
■ ポンテ・ア・エゴラ(トスカーナ州にある村:行政上はピサ県サン・ミニアート管轄)
ARTIGIANO DEL CUOIO
BADALASSI CARLO
Conceria ITALPEL
Conceria la BRETAGNA
Conceria NUOVA GRENOBLE
Conceria PUCCINI ATTILIO
Conceria WALPIER
MONTANA
ORICE
TEMPESTI
VOLPI Conceria
VIRGILIO Conciaria
MERIDIANA Industria
lp VALDARNO International
■ フチェッキオ(トスカーナ州フィレンツェ県)
Conceria IL PONTE
MONTEVERDI
RINALDI Conceria
■ カステルフランコ・ディ・ソット(トスカーナ州ピサ県)
M.P.G. Industria Conciaria
Conceria GHEPARDO
地図で示すと分かりますが、この4つの地区は隣接していて、いちばん離れている『MONTANA』社から『IL PONTE』社までも、車で10分程度の距離。姫路の「御着地区」から「松原地区」までが車で30分ほどなので、その密接具合がわかります。
またGoogleマップを見ると、ともに弊社と親密な関係性があり、ライバル同士でもある『MONTANA』社と『Conceria La Bretagna』社が歩ける距離に位置していることが分かります。
ちなみにこの『MONTANA』社や『Conceria La Bretagna』社があるのは、フィレンツェからピサ方面へ、車で西に約60分ほど走らせた場所にあります。電車で行く場合は各駅停車しか停まらない『サン・ロマーノ=モントーポリ=サンタ・クローチェ』駅が最寄駅です。駅前はタクシー乗り場もお店もほとんどないローカルな駅であり、フィレンツェから来ると、とてものどかで、ここだけ時間がゆっくり流れているように感じる場所。まさに“イタリアン タイム”と呼ばれるような空気感に満ちた環境で、決して褒められたことではありませんが、納期が遅れてしまうのも納得してしまうようなところです。
そしてその駅こそが、協進エルのスタッフ、田辺のスタート地点。28年前に毎日通っていた原点とも言える場所であることは、『Conceria La Bretagna』社の代表、パオロ氏との対談でも語られています。
おわりに
いかがでしたか? イタリアが「革の本場」と呼ばれる理由が少しお分かりいただけたと思います。こうして姫路をも超えるタンナーの集積地から、互いに刺激を受け合い、その結果として種々様々、新しく斬新な革が生み出されていきます。
協進エルにおいても、これらの地域でつくられた革をたくさん扱っておりますので、お気軽にお問合せください。