協進の人

2023.07.27 UP

革屋の1日〜そこに問屋の存在意義が〜

革を扱う卸問屋である協進エルの1日は、いったいどのように進んでいくのでしょうか。営業スタッフの働き方を見ていきましょう。

勝負は午前中。全数検査にこそ、問屋の存在意義が。

協進エルの1日は、革の生産地である兵庫県姫路からのトラックが到着すると同時にスタート。午前中は届けられた革の検品や仕分け、梱包が主な作業。優先順位を明確にしながら、スタッフ同士で声をかけ合い、協力し合って、どんどんとさばいていきます。

もちろんインポートレザーも豊富に扱っているので、姫路からのトラック便に加えて、海外からのエア便や船便が到着することもあります。しかし検品台は3台しかなく、また革を置いておくスペースも無限にあるわけではありません。だからこそ優先順位を確実に決めて、スタッフ間で共有するのが何よりも大切になります。

毎朝、ドサッと届く革たち。さあ新しい1日が始まります。

優先順位を決めて、急ぎのものから検品台へ!

ちなみに協進エルの営業部には、いわゆる「番頭さん」と呼ばれる、自分は個別の担当を持たずに、全体を指揮する役割を担うポジションが存在しません。一人ひとりの営業マンが、“個人商店”としてそれぞれのクライアントに対して責任を持って業務を進めています。したがって毎朝コミュニケーションをとりながら「どの担当者の、どの商品が急ぎなのか」を確認して、それを優先的にさばいていきます。

すべての革を一度ほどいて検品。それが協進エルのこだわりです。

どの順番で着手するかが決まったら、もっとも大切な工程である「検品」が始まります。そもそも革というのは、オーダー通りの品質・数が納品されているかが、タンナーから届けられたものを開けてみないと分からないもの。それが故に、協進エルで昔から徹底しているのが全数検査です。

まずは要望通りの色がきちんと出ているかを確認します。

傷やムラ、オーダーした硬さや質感が再現されているか……。

時間をかけて、入念に検査していきます。

届いた革をすべて一度出し、複数人のスタッフで仕上がりや色をチェックし、品質ごとにランク分けりする工程を踏むことで、依頼主であるお客様に迷惑をかけず、またより効率よく製作を進めてもらうサポートができるわけです。

この検品〜仕分けという工程こそが、私たちのような卸問屋の存在意義のひとつです。どれだけ手間や時間がかかっても、この部分をおざなりにすることはできません。

検品の後は巻きの工程へ。これが意外と難しい!

硬い革だとチカラもいる作業です。職人の腕の見せ所。

ちなみに写真を見ていただくと分かる通り、タンナーから届いた革は、白色のビニール紐で結ばれているのに対して、協進エルから納品する際には、緑色に変わっています。これがつまり全数検査をした証拠であり、求める革を安心して使っていただける印でもあります。

検品後は緑色の紐で結びます。これが協進エルがすべて検品をした証。

お客様のところへ納品、もしくは加工業者の元へと運びます。

検品が終わった革は、東京近辺など、車で行ける納品先の場合は、配達用の自家用車で営業マンが届けて、逆に遠い時には午後のトラック便に乗せて配送するのが通例。また弊社からお客様のところに運ぶこともあれば、加工を施すために、例えば「漉き」の工程を担当する業者に届けるといったケースもあります。

ちなみに姫路でつくられた革が、東京にある弊社に届けられ、検品をはじめとした上記の工程を済ませた後、また西へと運ばれて、姫路から近い場所にある兵庫県の豊岡や大阪に納品されるというようなことも当たり前のようにあるのがおもしろいところ。やはり“取りまとめ役”として、私たちのような問屋が果たすべき役割があることがよくわかります。

緑色の紐と一緒に、いってらっしゃい!

ここまで説明した通り、午前中に革の検品と仕分けを行い、午後にそれらを届けるというのが大きな流れ。その間の空いた時間をつかって、商談を行ったり、お客様に新しい革を紹介したりしているうちに、営業マンたちの1日はあっという間に終わっていきます。

これからも我々のお客様であるメーカーやデザイナーの方々、また革をつくってくださる国内外のタンナーさんなど、関わるすべての人たちに貢献できるよう、毎日、朝から奮闘していきます。