協進の革

2025.12.29 UP

国や地域によるタンナーの特徴や違いとは?

国内・海外を問わず、日々たくさんの革が入荷される協進エル。その膨大な数の革を見ていると、国や地域ごとに仕上がりや特徴の違いがあることに気づきます。
それは“良い悪い”ではなく、あくまで国民性や生産性の背景による“違い”。今回はそれらの違いについて、考えていきます。
※この記事の内容は、客観的な事実に基づいたものではなく、あくまで「一個人としての意見」ですので、あらかじめご了承ください。

1.日本のタンナー

各工程の精度が高く、均一な仕上げを実現できるのが国内タンナーの何よりの強み。
また中小企業が主体で、少人数だからこその多品種生産が可能となると同時に、研究熱心で職人気質な日本の職人技によってブレを極めて少なくできるのも大きな特徴です。

画像は「たつの市松原地区のタンナー」のもの。

さらに色味やツヤ、硬さなどの調整に加えて、納期なども相談しやすく、お互いに同じ国に住み、同じ言語を使うからこその緊密なコミュニケーションをとることができるので、試作段階から革問屋やメーカーとの共同作業で、高品質な革を制作できます。

姫路市御着地区のタンナー

SADDLE LEATHER / サドルレザー

生産国 : 日本
タンナー : 姫路市御着地区のタンナー
種類 : 牛バット
平均サイズ : 100ds

2.イタリアのタンナー

伝統的に「植物タンニン鞣し」を行なっているのがイタリアのタンナーの特徴であり、ユーザーにも長く使い込むことでエイジングを楽しむ文化が根付いています。
多くのタンナーが自然な風合いを活かす仕上げを得意としていて、多少のキズやムラ、ピンホールなども“味”と認識するだけでなく、むしろ動物の個体差が反映された“一点もの”として喜ばれるケースも少なくありません。

またイタリアのタンナーは、世界的ブランドとの共同開発にも積極的で、協進エルのようにインポートレザーを扱う革屋は、そのノウハウを活かすことで生まれた有名ブランドと同等レベルの高品質な革を扱えるというメリットがあります。

画像はイタリアのタンナー「ブレターニャ」のもの。

そしてもうひとつ、見逃せないポイントがあります。それはイタリアをはじめとするヨーロッパのタンナーは、自分たちの仕事と、自分たちがつくった革に非常に強いプライドを持っていることです。革職人は芸術家やクリエイターなどと並んで誇り高きクラフトマンシップを持つ仕事として、高く評価されています。

Conceria La Bretagna

ARIZONA / アリゾナ

生産国 : イタリア
タンナー : コンツェリア・ラ・ブレターニャ
種類 : 牛ショルダー
平均サイズ : 140ds

MONFRINI PELLAMI

MOUTON / ムートン

生産国 : イタリア
タンナー : MONFRINI PELLAMI
種類 : 羊丸革
平均サイズ : 60ds

3.アメリカのタンナー

ホーウィン社の『クロムエクセル』に代表されるようにオイルをたっぷりと含んでいて、柔らかく耐久性や耐水性に優れた革をつくることが多いのがアメリカのタンナーの特徴。

画像はアメリカのタンナー「ホーウィン・レザー」のもの。

これは日常的に使いやすい質実剛健な革を好むアメリカの国民性が反映された結果で、ワイルドでタフな印象が強くなっています。

Conceria La Bretagna

Horween® Genuine Shell Cordovan / シェルコードバン

生産国 : アメリカ
タンナー : Horween Leather
種類 : 馬コードバン
平均サイズ : 18ds

Horween Leather

CHROMEXCEL® / クロムエクセル

生産国 : アメリカ
タンナー : Horween Leather
種類 : 牛半裁
平均サイズ : 180ds

4.アジアのタンナー

日本とは違って、大規模な土地に数百人もの人が働いていることが多いのが、中国やインド、バングラデシュといった新興国のタンナーの特徴。
そのスケールを活かした「大量生産」を得意とするタンナーが多く、圧倒的な供給量や安価な人件費を活かした割安の商品を提供できるのが強みです。

画像は「インド・チェンナイ」のタンナーのもの。

また昨今では世界各国から優秀な技術者が集まる傾向も見られ、技術的にも飛躍的に進化を遂げている点も見逃せません。

Tanners in Chennai

JOUNIER / ジョニール

生産国 : インド
タンナー : Tanners in Chennai
種類 : 牛カーフ丸革
平均サイズ : 150ds

おわりに

いかがでしたか? 協進エルのスタッフの主観的な見解も含みますが、各国のタンナーの特徴をまとめました。

補足として、海外タンナーとの取引の際には、昨今の円安傾向によって商品代が割高になることや関税や輸送コストがかかること、そして細かな要望が通りにくく、ツヤや色止めなどの微調整が必要になった場合は、国内の工場に改めて加工を依頼する必要が生じるといった点には注意が必要です。

今日ご紹介した各国のタンナーの特徴や得手不得手をすべて把握し、さまざまな交渉をしながら取引をするのはなかなか困難なこと。そういう場合はぜひ革のプロフェッショナルが揃った協進エルにご相談ください。今回・海外を問わず、お客様の納得のいく商品を選んでいただくために、全力を尽くします。