協進の革

2024.12.27 UP

“アドバン仕上げ”で、革に世界にひとつだけの個性を!

東京レザーフェア、個展と、相次いで開催し、新作のオリジナルレザーをいくつか紹介しました。今回はその中で問い合わせが多かったアドバン仕上げについて、掘り下げていきたいと思います。

人気の加工「アドバン仕上げ」とは?

アドバン仕上げとは、二層に仕上げられている革のこと。一度、表面に塗料を均一に塗り込んで仕上げた後、その上にさらに「ベール」と呼ばれる濃色の塗料を塗り込むことで仕上げられます。

ベールは研磨による脱色性をもつことがポイントであり、それが削られることで下層にある明るい色と、上層の濃い色が絶妙に重なり合い、そこから生み出される深みのある色合いこそが、アドバン仕上げのもつ最大の特長と言えるでしょう。また光の角度によっても色の見え方が変わっていくため、独特の高級感や存在感を放ちます。

主な用途は、靴やバッグ、財布、ベルトと幅広く、繊細な加工が施されているため、フォーマルやビジネスシーンでの使用に適しています。

ではアドバン仕上げの具体的な楽しみ方をいくつか紹介していきます。

アドバン仕上げの楽しみ方3選

【1:経年変化】

そのまま製品にして、使っていくうちに上層のベールが徐々に削られ、下層の色があらわれてくる経年変化を楽しみます。摩擦によって底光りするような、透明感のある独特な光沢があり、他の加工では得られない魅力があります。

かつては協進エルでも定番品として高い人気を誇った『ウラガノ』。

【2:部分的に磨く】

革の一部分だけを磨いて下層の色を出すことで、非常に個性的な表現が可能です。手作業で仕上げていくので、どれひとつとっても同じものは出来上がらず、オンリーワンのデザインを楽しむことができます。

黒いベールを部分的に削った『アドバンガラス』。下層の白色が出てきている様子や、美しい光沢がよくわかります。

【3:すべて磨き落とす】

手作業で上層のベールをすべて脱色させることで、不均一なムラが生まれ、アンティーク感が表現されます。【1:経年変化】と同様に、他では得られない透明感のある光沢が特徴です。

イタリア製ショルダーヌメでアドバン仕上げの『ストーン』。ベールがすべて磨き落とされています。

【4:型押し加工の後、磨き落とす】

アドバン仕上げした革に「クロコ」のような凹凸の深い型押し加工してから磨くと、凸部だけベールが削られて下層の明るい色があらわれ、凹部の溝にはそのままベールの濃色が残ります。

その結果、より高級感が増し、同時にリアルにクロコダイルレザーに似させることが可能となります。さらに色を極端にすれば模様に陰影が生まれるので、さらに立体感と深みが増していきます。

イタリア『MERIDIANA社』の革たち。独特な立体感が楽しめます。

カラー展開も思いのままに。

おわりに

いかがでしたか? 

ちなみに磨き落とす際に、協進エルでは「アドバン専用ワックス」や「車用コンパウンド入りワックス(液体のものと固形のもの)」、さらに「液体金属磨き」「ウエットティッシュ」などを利用するだけでなく、磨く布も「タオル」や「日本手ぬぐい」など、さまざま手法でそれぞれの違いを楽しんでいます。

そうして出来上がったそれぞれに個性を持つアドバン仕上げの革をたくさんご用意できます。興味ある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!