今回はアメリカ『HORWEEN LEATHER』社が100年以上の長きに渡って世に送り出している『Horween® Genuine Shell Cordovan』を紹介していきます。
世界的に知られる最高級紳士靴メーカーの指定素材にセレクトされて以来、「最高級レザー」の代名詞として、世界中の革好きを唸らせてきた『Horween® Genuine Shell Cordovan』。「革の宝石」や「幻の革」といった異名を持ち、米国大統領が就任式に好んでこの革の靴を履くことでも知られるその魅力に迫っていきましょう。
100年以上の歴史と、職人の腕がつくり出す革のひとつの到達点。
コードバンの原皮となるのは、言わずもがな馬の臀部(=お尻)。その中でも最も密度が高く、強靭な繊維を持つ部位のみが『Horween® Genuine Shell Cordovan』に使われます。
その原皮を、創業以来、門外不出となっている独自の調合でつくられた自家製のタンニンと、動物性と植物性の両方のオイルを用いて、じっくりと月日を重ねながら浴槽に繰り返し漬け込むこと、なんと6ヶ月。用いられる原皮の繊維質の密度が非常に高いが故に、その奥深くまで薬剤を浸透させるために創業者が残した「急がず、焦らず」という遺訓が、今日まで脈々と受け継がれています。
ちなみに『Shell Cordovan』という名前の由来は、徹底的に削っていくことで仕上がった形状が貝の形に似ているから。 熟練の職人が手間暇をかけて丹念に両面を磨き上げ、1枚ずつ手染め加工を施し、その後、さらにしっかりと磨いた結果として、強靭で、深みのある色調の革が出来上がっていきます。
そうして出来上がった『Horween® Genuine Shell Cordovan』には、表面にしっとりとしたタッチ感と、独自のタンニンが残す優雅な香りがあり、また使い込むことによってそれらの特徴がより重厚に、より深く変化していきます。それでいて、耐久性は損なわれることはありません。
近年では原皮の供給不足と、価格の急騰の深刻化によって、さらにその希少性が高まっている『Horween® Genuine Shell Cordovan』。それでもなお、紳士靴や財布、ベルト、鞄など、欧米の高級有名ブランドの製品に幅広く活用され、世界中の人々を魅了し続けております。
自分でできる! お手入れ方法のご紹介
では最後に、『Horween® Genuine Shell Cordovan』のお手入れに関して、少しだけ触れておきます。
コードバンの表面には、細かい毛穴のような点々や、仕上げ加工の時に生じる摺れや擦り痕などが見られることもしばしば。そういった場合は、以下のお手入れ方法をお試しください。コードバンならではのしっとりとした質感や、滑らかな風合いを取り戻すことができます。
準備としては、『シュプリームクリームデラックス(コロニル社製)』と『きれいな柔らかい布』をご用意ください。ちなみに『シュプリームクリームデラックス』は弊社でも取り扱いがございますので、気になる方はぜひお問合せください。
まずは革の表面の細かい異物を取り除き、その後、少量の『シュプリームクリームデラックス』を柔らかい布にとって、気になる部分の付近から全体に、車のワックスがけの容量で優しく磨くように塗り込んでいきます。また少し水に濡れた状態のきれいな布でも磨いてください。そうすると表面の疵や痕が少しずつ消えて、自然な風合いと色調が蘇ってきます。
このようなお手入れで復元できるのは、6ヶ月にも及ぶ長い時間を費やしながら鞣し加工を施すことで、革全体に十分に油脂分が蓄えられているからこそ。そういった部分にもコードバンの魅力が詰まっています。
おわりに
さあ、いかがでしたか?「アメリカが世界に誇るコードバン」として、人々を魅了し続ける『Horween® Genuine Shell Cordovan』の魅力が伝わりましたでしょうか。気になる方は、ぜひ一度手にとって、他にはない質感や光沢を感じとってください。
もちろん弊社ショールームにも展示していますので、お気軽にお問い合わせください。