革製品を購入することや使用することを「動物がかわいそう」と考えられているのが、まだまだ革業界に残っている大きな誤解です。そこで今回は「Think Leather Action(以下:TLA)」という活動を紹介しながら、いかに革がサスティナブルな素材であるかをお伝えできればと思います。
はじめから、これからも、ずっとエコ。
TLAの前に、私たち協進エルも参加している「東京レザーフェア」宣言として発表している文言を紹介したいと思います。
『はじめから、これからも、ずっとエコ。』
生きるために動物を狩り、肉を食べた後に残った皮も
捨てることなく、広く生活の道具として活用する。
私たちの祖先は、生き物たちの尊い命への感謝と、
自然界と共生するための知恵から
そのように皮と付き合ってきました。
今の時代を生きる私たちに求められる
エコロジカルでサスティナブルなライフスタイル。
その考え方が生まれるはるか前から
革はそれを体現している素材だったわけです。
肉を食べ、その副産物である皮も、余すことなく利用する。
自然界と動物、人間、そして革の関係は
どれだけ時間が流れても、変わることはありません。
業界の中で働いている人にとっては、もう当たり前の前提ですが、私たちが使っている革は、すべて「副産物」。
私たちは牛や豚などのお肉をたくさん食べますが、基本的に皮は食べません(鳥などの例外もありますが)
そしてそのままだと捨てるしかない「皮」を用いてつくられるのが「革」。つまり、革をつくるために殺される動物はいません。最初に書いた話が誤解であることがおわかりいただけますでしょうか。
そしてこの営みは太古の昔から続くもの。私たちの祖先は生きていくために狩りをして動物のお肉をいただき、残った皮を防寒具や防寒用のテント、水などを貯蔵していくための袋などに活用してきたという記録が残っています。
動物たちの尊い命をいただくからこそ、余すことなくすべてを使い切る。
TLFの宣言文にもある通り、その始まりから今に至るまで、ずっと「エコロジーな素材」であることがわかります。
TLAとは?
ではここから改めてTLAが配布しているパンフレットを紹介しながら、一緒に考えてみましょう。
まずTLAの簡単な紹介から。公式サイトには以下のような紹介文があります。
Thinking Leather Action/シンキングレザーアクション(TLA)とは、皮革・革製品などのサステナビリティを発信していくプロジェクトです。
その中で、公式サイトからの画像をもちいて、4つの観点から、革製品がどれだけサステナブルな素材であるかを紹介していきましょう。
革製品のためだけに、動物の命をいただくことはありません。
革製品は、食肉用などの動物から、お肉をいただくときに出る皮を活用してつくられています。よって、革製品のためだけに、動物の命をいただくことはありません。我々がお肉を食べ続ける限り、出続ける皮を無駄なく革製品として活用していく。これは、ずっと昔から続くサステナブルな活動なのです。
革製品を使うのをやめてもアニマルウェルフェア・アニマルライツにはつながりません。
革製品は、食肉用などの動物から、お肉をいただくときに出る皮を活用してつくられています。よって、我々がお肉を食べ続ける限り、革製品を使うのをやめても皮は出続けるため、アニマルウェルフェア(動物福祉)・アニマルライツ(動物の権利)などの活動に貢献するといった考え方には矛盾が生じます。
我々がお肉を食べ続ける限り、出続ける皮を無駄なく革製品として活用していく。これは、ずっと昔から続くサステナブルな活動なのです。ただし、近年においては、アニマルウェルフェア・アニマルライツをきちんと守って育てた動物のお肉・革を選び、使うことは大切な考えとなってきました。
革製品は、使うだけで脱炭素。使うのをやめるとCO2が増える可能性さえあります。
もし、革製品を使うのをやめたとしても、動物からお肉をいただく際に皮は出続けます。例えば牛の皮。その量はなんと、日本だけでも1年間に約100万頭分(2021年)。もし活用しないと、ハンドバッグにして769万個分、革靴にして2,500万足分の皮を無駄に廃棄・焼却することになり、相当なCO2が排出されます。日本では施設・土地に限りがあり、これ以上の焼却や埋め立てはできません。
また、これまで革でつくっていた製品を別の素材でつくることになれば、さらなるCO2の排出につながる可能性すらあります。皮を、革製品として活用することは、脱炭素にもつながる、サステナブルなサイクルなのです。
革製品は丈夫で長持ち。だから地球にやさしい。
安価で見た目が良くても長持ちしないモノを、短いスパンで買い替えていくと、モノをつくるときと捨てるときに、地球環境への負荷がかかります。 一方で、革製品は丈夫で長持ち。革は、長い目で見ると、地球にやさしくて、とってもエコな素材なのです。
革は世界最古のアップサイクル素材。だからサステナブル。
人類と革との付き合いが長く忘れられがちですが、古来より人類は、動物からお肉を頂き、皮、骨に至るまで余すことなくアップサイクルして使ってきました。現在においてもその流れは続いており、動物を育て(畜産)、お肉をいただき(食肉)、そこででる皮を活用し(副産物)、革製品をつくって使う、という流れが出来上がっています。
もし革製品を使うのをやめると、我々がお肉を食べ続ける限り出続ける、大量の皮を焼却や埋め立てるなど廃棄しなければならなくなり、新たな環境問題を生む可能性さえあります。革や革製品は、使うだけでサステナブルに貢献できていることを忘れないでください。
さあ、いかがでしたか? 革製品がサスティナブルで、エコロジカルであることが理解いただけたかと思います。
さらに私たち協進エルでは、お客様との取引の中で出てきたはぎれまでを、1階のショップで販売することで、本当に余すことなく動物の命を活用させていただいております。
これからも革や革製品に関する正しい知識の啓蒙を進めていきたいと思います。