協進の革

2024.07.31 UP

「合成皮革?」「皮革繊維??」それって、「革」「レザー」なの!?

2024年3月より、国内の産業製品に関する企画や測定法などを定める国家規格『JIS』により、「革」や「レザー」と呼べる製品は「動物由来のものに限る」と規定されました。
今回はJISの規定に従って、定められた細かい区分けなどを簡単に説明していきます。

天然皮革と「〇〇レザー」と呼ばれていたものとは、まったく別物です。

まずなぜ今回、JISによって厳格に「革」と呼べるものが規定されたのかという話をしていきます。

そもそも「天然皮革」と、これまで「〇〇レザー」と呼ばれてきたものは、見た目は似ていても、構造はまったく違うもの。牛をはじめとした動物たちの皮は、外部からの刺激や危害から身体を守るために、繊維で織ったような緻密な美しさを持ち、驚くほど精巧で合理的な構造をしていて、それは決して人工的にはつくることができない複雑すぎる二層の繊維構造から成り立っています。

また当然のことながら、天然のものであるがゆえに、電子顕微鏡で見比べてみると、表面の毛穴の大きさや内部の繊維構造など、どこをとってもひとつとして同じところはありません。

「小売店などには、天然皮革でつくられている同じ型の商品がいくつも並んでいるのでは?」と思うかもしれませんが、そういったものも実は部位による特性を活かしながら、同じではないパーツを組み合わせることで完成しているので、見た目は同じように見えても、厳密にはまったく違うもの。一つひとつに個性があり、それが人工的な素材とは違う魅力をもちます。それこそが奥深く、温かみを感じられる天然皮革の商品の価値であり、すべてが唯一無二だからこそ、消費者が愛着を持って使っていただけます。

「〇〇レザー」と名のついた素材でつくられた工業製品とは、まったく別物であるということをご理解いただけましたでしょうか。ではここから、実際の定義の説明に進んでいきましょう。

1:「革」「レザー」に当たるもの

まずは、「革」「レザー」と読んでいいもの。その代表的なものを紹介していきます。ひとつ目が、まさに『革、レザー』であり、私たち協進エルで主に扱っているもの。JISの定義では、以下のようになっています。

「皮本来の繊維構造をほぼ保ち、腐敗しないようになめした動物の皮」

注釈1:毛は除去したものも、残っているものもある。
注釈2:仕上げ塗装、又は表面層を付与したものは、仕上げ塗装、又は表面層の厚さが0.15mm以下のものを革(レザー)という。
注釈3:革(レザー)を機械的、又は化学的に繊維状、小片又は粉末状に粉砕し、街脂などの使用の有無にかかわらず、シート状などに加工したものは革(レザー)とはいわない。
注釈4:“天然皮革”及び“本革”ともいう。“皮革”という用語も使用されるkが、“皮革”は“皮”及び“革(レザー)”を総称する用語である。
注釈5:“革(レザー)”及び“皮革”という用語の使用は、ここで定義されたものだけに使用してもよい。この規格に規定されたものを除き、人工的な材料の名称として使用してはならない。

現在、協進エルのショールームに展示されているのは、すべて「革」「レザー」と呼べるものです。

続いてふたつ目は『スプリットレザー、床革』になります。定義は以下の通り。

「なめし前後に複数の層に分割する場合があるが、表面(銀面)層がない下層部分を腐敗しないようになめした皮」

注釈1:動物の名前又は革の部位が説明に含まれている場合、例えば、“豚床革(pig split leather)”又は豚スプリットレザー”のような用語として使用されることがある。

みっつ目は『コートレザー』です。定義は以下の通りになります。

「表面に仕上げ塗装、合成脂などで表面層を付与したもので、仕上げ塗装、又は表面層の厚さが0.15 mmを超えるが、塗装又は表面層を含む素材の厚さの3分の1を超えない革(レザー)」

注釈1:床革に仕上げ塗装、合成繊脂などで表面層を付与したものは、“コートスプリットレザー(Coated split leather)”という

最後は『エコレザー』です。

「皮革製造におけるライフサイクルにおいて、環境配慮のため、排水、廃棄物処理などが法令に遵守していることが確認され、消費者及び環境に有な化学物質などにも配慮されている革(レザー)」

ここまで紹介したたものに関しては、国内においても「革」「レザー」と表記しても問題ありません。

2:革(レザー)を粉砕などして再利用した素材

ふたつ目が、革(レザー)を元に加工したものを指す『皮革繊維再生複合材』になります。これは革を細かく粉砕して、シート上に加工したものであり、「革」「レザー」とは呼べません。定義は以下の通りです。

「革(レザー)を機械的又は化学的に雑状、小片又は粉末状に粉砕したものを、乾燥質量で50%以上配合し、掛脂などの使用の有無にかかわらず、シート状などに加工したもの」

注釈1:革(レザー)繊維,結合材又は革(レザー)製造用の助剤以外に他の成分がある場合は,それらの成分を表示する。
注釈2:“レザーファイバボード”又は“ボンデッドレザーファイバ”ともいう。“再生革”又ば“リサイクルレザー”という用語は正しくない。
注釈3:貿易で使われているHSコードにおいては,“コンポジションレザー(composition leather)”という用語が使用されているが,用語としては正しくない。
注釈4: 表面にポリ塩化ビニル、ポリアミド,ポリウレタンなどの合成脂面を配して,革(レザー)の外観に類似させたものもある。

3:革(レザー)を模した素材

最後に紹介するのは『合成皮革』『人口皮革』です。これらは動物由来のものではなく、布や合成樹脂などを用いて、見た目を革に似せたもの。これらに関しても、これからは「革」「レザー」とは呼べません。JISによる定義は以下の通り。

『合成皮革』
「基材に織布、編物、不織布などを用いて、表面にポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリウレタンなどの合成脂面を配して、革(レザー)の外観に類似させ、その特性である感触、光沢、柔軟性などを与えたもの」

『人口皮革』
「基材に特殊不織布を用いて、表面にポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリウレタンなどの合成脂面を配して,革(レザー)の外観に類似させ、その特性である感触、光沢,柔軟性などを与え、銀付き革調に加工、又は特殊不織布に立毛を配して、スエード調,ベロア調,ヌバック調に加工したもの」

注釈1:特殊不織布とは,ランダム三次元立体構造をもつ繊維層を主とし,ポリウレタン又はこれに類する可とう性をもつ高分子物質を含浸させたものをいう。
注釈2: 特殊不織布には,ランダム三次元立体構造をもつ繊維層に織布又は物を組み合わせ,ポリウレタン又はそれに類する可とう性をもつ高分子物質を含浸させたものも含む。

おわりに

さあ、いかがでしたか? 少しややこしい内容になっておりますので、表記についてお悩みの場合は、お気軽に協進エルまでお問合せください。